住み替えを考えている子育て世帯にとって、「引っ越し先で保育園に入れるのか」は大きな不安です。実はこの問題には、あまり知られていない落とし穴があります。多くの自治体が「市外在住者」に対して選考の点数を減らす仕組みを設けているのです。
そこで当サイトが収録している459自治体の公式な入園選考基準を横断的に集計したところ、150自治体(32.7%)が市外在住による減点を設けていることがわかりました。約3自治体に1つの割合です。
この記事のデータについて
当サイトが各自治体の公式資料(利用調整基準表・入所選考基準表など)から収録した459自治体分のデータを集計しました(2026年8月時点)。全国1,741市区町村すべてを調査したものではなく、点数表を公開している自治体のうち当サイトが収録済みのものが母数です。
市外在住による減点が大きい自治体
減点幅は自治体によって大きく異なります。最大は沖縄県うるま市の-150点でした。
| 自治体 | 減点幅 |
|---|---|
| 沖縄県うるま市 | -150点 |
| 福岡県柳川市(広域入所) | -75点 |
| 神奈川県綾瀬市 | -50点 |
| 神奈川県鎌倉市 | -30点 |
| 岩手県矢巾町 | -30点 |
| 埼玉県皆野町 | -30点 |
| 茨城県茨城町(町外在住・町外勤務) | -20点 |
| 岡山県浅口市 | -20点 |
| 埼玉県蓮田市 | -20点 |
| 鹿児島県いちき串木野市(市外在住・市外勤務) | -20点 |
この数字の重みは、その自治体の点数のスケールと比べて考える必要があります。たとえば基本の点数が父母合計で20点程度の自治体で-20点なら、就労で得た点数がそっくり相殺されることになります。
「勤務地が市内かどうか」で減点幅が変わる自治体もあります
市外在住の扱いは一律ではありません。勤務地によって減点幅を分けている自治体があります。
- 鹿児島県いちき串木野市:市外在住で勤務地が市内なら-10点、勤務地も市外なら-20点
- 茨城県茨城町:町外在住で町内勤務なら-10点、町外勤務なら-20点
- 日置市(鹿児島県):市外在住で市内での保育を必要とする事由があれば-10点、なければ-20点
つまり「住まいは市外だが職場は市内」というケースでは、減点が半分で済むことがあります。
転入予定者なら減点されないことが多い
ここが実務上もっとも重要なポイントです。多くの自治体が減点の条件から「転入予定者を除く」と明記しています。
たとえば岩手県矢巾町は「矢巾町外に居住していますか(転入予定を除く)」、鹿児島県いちき串木野市も「市外在住者(転入予定者を除く)」と定めています。熊本県山鹿市では同点時の優先基準に「既に山鹿市内に住民票がある世帯」が挙げられており、住民票の有無が影響します。
転入予定であることを示す書類
多くの自治体が「転入確約書」「転入に関する誓約書」といった様式を用意しています。売買契約書や賃貸借契約書の写しの提出を求められることもあります。申込先の自治体でどの書類が必要かを、申込締切前に必ず確認してください。
引っ越しのタイミングをどう考えるか
保活を前提に住み替えを検討する場合、判断材料は次の3点です。
- 申込締切日の時点でどちらに住民票があるか。多くの自治体が申込締切日を基準日としています。
- 転入確約書が使えるか。使えるなら、入園決定後の転居でも減点を避けられる可能性があります。
- 市外児童の調整順位。減点とは別に「市内児童の調整を先に行い、その後に市外児童を調整する」と定めている自治体があります(日置市など)。この場合、点数以前に順番が後になります。
逆に加点される「単身赴任」
住まいに関する項目では、減点だけでなく加点もあります。保護者の一方が単身赴任などで不在の世帯には加点する自治体が多数あります。転勤に伴う別居を検討している場合は、この加点の有無も確認しておくとよいでしょう。
まとめ
引っ越しと保活は切り離せません。収録459自治体のうち150自治体(32.7%)が市外在住に減点を設けている一方、その多くは転入予定者を対象外としています。物件を決める前に、引っ越し先の自治体が市外在住をどう扱うか、転入確約書で回避できるかを確認しておくことをおすすめします。
お住まいの自治体・引っ越し先の自治体の実際の点数は、当サイトの保育園入園点数シミュレーターで試算できます。都道府県ごとの比較は自治体比較ページをご覧ください。
このデータの引用について
本記事の集計データは、出典として「保育園入園点数シミュレーター(hoikaten.com)」を明記していただければ、記事・資料などで自由にご引用いただけます。個別の自治体の最新の取扱いについては、必ず各自治体の公式情報をご確認ください。