子どもが生まれると、学資保険の話を聞く機会が増えます。ただ「入るべきか」の前に確かめておくことが3つあります。ここを飛ばすと、判断の土台がないまま商品を比べることになります。
1. 公的な支援でどこまで賄われるか
教育費は「全部を自分で用意するもの」ではありません。すでに次のような支援があります。
| 時期 | 公的な支援 |
|---|---|
| 0〜2歳児クラス | 保育料は住民税非課税世帯が無償。それ以外は世帯の住民税額に応じた負担 |
| 3〜5歳児クラス | 幼児教育・保育の無償化で利用料が無償(給食費などは別) |
| 小・中学校 | 公立の授業料は無償。就学援助の制度がある |
| 高校 | 高等学校等就学支援金がある |
| 大学など | 高等教育の修学支援新制度、奨学金 |
あわせて児童手当があります。2024年10月から高校生年代まで対象が広がり、第3子以降は増額、所得制限も撤廃されました。児童手当を使わずに貯めるだけでも、まとまった額になります。
まとまったお金が要るのは、多くの場合大学などの進学時です。逆にいえば、そこまでの十数年をどう使うかという話になります。時間があるのは有利な条件です。
2. 貯蓄と何が違うのか
学資保険は「貯める」機能と「保険」の機能が一緒になっています。貯蓄との違いは主に次の点です。
| 学資保険 | 預貯金 | |
|---|---|---|
| 契約者が亡くなったとき | 以後の保険料が免除され、満期金は受け取れるのが一般的 | そこまでに貯めた分だけ |
| 途中で引き出す | 解約すると元本割れすることがある | いつでも引き出せる |
| 増え方 | 契約時に決まる | 金利による |
「途中で引き出しにくい」ことは、使ってしまわないための仕組みとして働く面もあれば、急な出費に対応しにくいという面もあります。どちらに感じるかは家庭によります。
3. 親の保障とどちらが先か
学資保険の「契約者が亡くなったら以後の保険料が免除される」という機能は、親の死亡保障の一部と見ることもできます。
ここで順番の問題が出てきます。親に何かあったときに必要なのは、教育費だけではありません。日々の生活費と住居費のほうが額としては大きいのが普通です。
教育費の準備を先に固めて、生活費の保障が薄いままになっている——という形は避けたいところです。遺族年金でいくら出るかを確かめて、生活費の不足を埋めてから教育費に進むほうが、順番として無理がありません。
向いている家庭・そうでもない家庭
一般論として言えるのは次のくらいです。
- 向いていることが多い… 手元にお金があると使ってしまう自覚がある/親の死亡保障をまだ用意していない/確実に決まった額を受け取りたい
- そうでもないことが多い… すでに死亡保障を別に用意している/急な出費に備える現金が薄い/途中で家計が変わる可能性が高い
どちらとも言えない場合が多いので、「入るか入らないか」ではなく「いくらをどの方法で用意するか」という問いに置き換えるほうが答えを出しやすくなります。
商品を比べる前にすること
いつ、いくら要るかを置く。進路によって大きく変わりますが、仮でよいので数字を置きます。
公的な支援と児童手当を引く。ここまでで、自分で用意する額が見えます。
親の保障が足りているか確かめる。足りていなければ、そちらが先です。
残りをどう用意するか決める。ここではじめて学資保険・預貯金・その他の方法の比較になります。
この4段階を自分だけで進めるのは骨が折れます。子育て世帯向けの無料相談のような窓口では、公的な支援の確認から必要額の試算まで一緒に進められます。相談したうえで「うちは預貯金で足りる」という結論になっても構いません。判断の材料が増えることに意味があります。