妊娠・出産のお金の情報は、会社員を前提に書かれていることが多いです。自営業・フリーランスの場合はそのまま当てはまりません。何が違うのかを先に押さえます。
使えるもの・使えないものの一覧
| 制度 | 会社員・公務員 | 自営業・フリーランス |
|---|---|---|
| 出産育児一時金(原則50万円) | あり | あり |
| 健康保険(帝王切開などの異常分娩) | あり | あり |
| 高額療養費 | あり | あり |
| 妊婦健診の助成 | あり | あり |
| 児童手当 | あり | あり |
| 出産手当金 | あり | 原則なし |
| 育児休業給付金 | あり | なし |
| 傷病手当金 | あり | 原則なし |
整理すると、「医療費まわりは同じ、収入が止まったときの補いがない」という違いです。出産そのものにかかるお金は変わらず、働けない期間の収入だけが自己責任になります。
国民年金には産前産後の免除がある
知られていない制度です。国民年金の第1号被保険者は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間(多胎妊娠は6か月間)、国民年金保険料が免除されます。
この期間は保険料を納めたものとして扱われます。将来の年金額が減ることはありません。届出が必要なので、出産予定日の6か月前から市区町村の窓口で手続きできます。
国民健康保険にも、自治体によって産前産後期間の保険料を免除するしくみがあります。こちらも届出が要ります。お住まいの自治体で確認してください。
収入が止まる期間をどう見積もるか
会社員なら産前42日・産後56日という区切りがありますが、自営業には決まりがありません。いつまで働き、いつから復帰するかを自分で決められる反面、その期間の収入は自分で用意することになります。
働けない期間を長めに置く。産後の回復には個人差があり、予定どおりに復帰できるとは限りません。
その間の固定費を計算する。家賃・住宅ローン・国民健康保険料・水道光熱費・通信費。ここは収入が止まっても出ていきます。
取引先への説明の時期を決める。継続案件がある場合、休む時期を早めに伝えられるかで復帰後の仕事量が変わります。
足りない分を、貯蓄か保障のどちらで用意するか決める。ここではじめて保険の話になります。
就業不能に備える保障という選択肢
自営業には傷病手当金がないため、病気やけがで働けなくなったときの収入が完全に止まります。これは出産に限らない、自営業共通の弱点です。
民間には、働けない状態が続いたときに毎月お金を受け取れるタイプの保障があります。ただし「働けない状態」の定義が商品ごとに違い、支払いの条件が厳しいものもあります。契約前に、どういう状態なら支払われるのかを具体的に確かめる必要があります。
「働けなくなったら出る」と聞いて入ったのに、いざというときの定義に当てはまらなかった、という行き違いが起きやすい分野です。約款の言葉で確かめることが特に大切になります。
自分で調べ切るのが難しい部分
自営業の備えは、公的保障が薄い分だけ選択肢が広く、かえって決めにくくなります。国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済、民間の保障と、性格の違うものが並びます。
どれが向いているかは、収入の安定度・事業の形態・家族構成で変わります。子育て世帯向けの無料相談のような窓口で、まず「公的にどこまで守られているか」を確かめるところから始めると、選択肢を絞りやすくなります。