「妊娠が分かってから保険に入れますか」という問いには、入れる場合はあるが、条件が付くのが普通という答えになります。まずそのしくみから見ていきます。
保険には告知の義務がある
保険に申し込むとき、健康状態や妊娠の有無を保険会社に伝える義務があります。これを告知義務といいます。事実と違うことを伝えると、あとで給付金が支払われなかったり、契約が解除されたりすることがあります。
妊娠を伝えずに加入することは絶対に避けてください。いざ給付を受けるときに支払われず、それまで払った保険料も戻らない、という最も損な結果になりかねません。
妊娠中に付きやすい条件
妊娠が分かったあとに医療保険へ申し込むと、次のような条件が付くことがあります。
| 条件の名前 | 内容 |
|---|---|
| 特定部位不担保 | 子宮など特定の部位に関する入院・手術は保障しない |
| 特定疾病不担保 | 妊娠・分娩に関する疾病は保障しない |
| 部位・疾病不担保の期間 | 「契約から◯年間」のように期間が区切られることがある |
条件の付き方は保険会社ごとに違い、妊娠週数によっても変わります。「妊娠27週まで」のように申し込みの期限を設けている会社もあります。
条件が付いても入る意味はあるか
ここは考え方が分かれるところです。今回の妊娠・出産が保障の対象外でも、次のような場面では保障が効きます。
- 妊娠と関係のない病気やけがでの入院・手術
- 出産後、条件の期間が終わってからの妊娠・出産
- 子どもが生まれたあとの、自分自身の病気
逆に、今回の出産費用のためだけに入るのであれば、条件付きの契約は目的に合いません。その場合は貯蓄で備えるほうが素直です。
公的保障で足りる部分を先に見る
民間の保険を考える前に、すでに受けられる保障を確かめてください。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 出産育児一時金 | 子ども1人につき原則50万円 |
| 健康保険(異常分娩) | 帝王切開などは3割負担。高額療養費の対象にもなる |
| 出産手当金 | 健康保険の被保険者が産休を取ったときの収入の補い(国民健康保険には原則ない) |
| 妊婦健診の助成 | 自治体が回数分の費用を助成。金額と回数は自治体で違う |
会社員・公務員として健康保険に入っている人は、出産手当金と育児休業給付金という収入の補いがあります。自営業・フリーランスで国民健康保険の場合はこれがないため、備え方の考え方が変わります。
焦って決めないための順番
いま入っている保険を出してくる。勤務先の団体保険や、親が掛けてくれていた保険が残っていることもあります。
公的保障でいくら賄えるか計算する。出産育児一時金50万円と、産休・育休中の給付を足すと、思ったより手元は減らないことがあります。
足りない金額を出す。ここではじめて、貯蓄で足りるのか保険が要るのかの判断ができます。
条件の付き方を複数社で確かめる。1社で断られても他社では入れることがあります。ここは自分で全部を回るのが大変な部分なので、複数社を扱う無料相談を使うと早く済みます。
出産後に見直す前提で考える
妊娠中は、選べる保険の幅がどうしても狭くなります。いま無理に決めきらず、出産後に落ち着いてから入り直すという進め方もあります。
子どもが生まれると、必要な保障の中身も変わります。医療保険よりも、万一のときに残された家族の生活を支える保障のほうが優先度が高くなることが多いためです。妊娠中は最低限にとどめて、出産後にあらためて全体を組み直す、という順番は理にかなっています。