「引っ越すけれど、今の保育園に通い続けたい」「住まいは市外だが職場の近くの園に預けたい」。こうしたときに使えるのが広域入所(管外委託・広域利用)という仕組みです。
広域入所とは
広域入所とは、住民票のある市町村とは別の市町村の保育所を利用する仕組みです。住所地の市町村と施設のある市町村が協議したうえで利用が認められます。申込の窓口は住民票のある市町村になるのが一般的です。
認められる理由として、次のようなケースが挙げられることが多くあります。
- 保護者の勤務地が施設のある市町村内にある
- 里帰り出産のため一時的に実家に滞在する
- 近く転居する予定があり、転居先の施設を利用したい
- きょうだいがすでにその施設に通っている
- 住所地に受け入れ可能な施設がない
広域入所には条件があります
広域入所は「申し込めば必ず使える」制度ではありません。受け入れ側の自治体は、自分の市町村の児童を優先して調整するのが原則です。
たとえば兵庫県小野市は「広域入所(小野市居住者以外の入所)については、市内居住者における入所選考を優先し、受入可能児童数に余裕がある場合に入所受入を行う」と定めています。さらに「各施設の各年齢の受入可能児童数が3名以下の場合は、原則広域利用の受入は行わない」という具体的な線引きもあります。
また同市では「入所希望日の前々月の15日までに該当市町村から公文書による依頼があった場合に限る」とされており、手続きに1か月以上のリードタイムが必要です。思い立ってすぐ使える制度ではない点に注意してください。
里帰り出産と保育士は例外扱いのことも
小野市では「里帰り出産が理由の場合に限り、各施設の各年齢の受入可能児童数が1名になるまで広域の受入を行うことができる」「市内保育所等に勤務する保護者の児童については、受入可能児童数にかかわらず広域入所の受入を行う」と、理由によって扱いを変えています。
広域入所で減点される自治体
当サイトが収録する459自治体を集計したところ、広域入所・管外受託を選考基準の項目として明示している自治体があり、その多くが減点を設けていました。
| 自治体 | 点数 | 内容 |
|---|---|---|
| 福岡県柳川市 | -75点 | 広域入所(他市町村民) |
| 千葉県四街道市 | -20点 | 市外の保育所等(広域入所)を希望 |
| 神奈川県葉山町 | -20点 | 広域入所 |
| 鹿児島県いちき串木野市 | -10〜-20点 | 市外在住(勤務地が市内なら-10点、市外なら-20点) |
| 埼玉県飯能市 | -10点 | 管外受託 |
| 埼玉県鶴ヶ島市 | -8点 | 市外在住(管外受託) |
なお愛知県豊橋市・豊川市のように、「他の市区町村(管外)の保育施設に申込む場合」という項目を設けつつ点数の増減はない自治体もあります。項目があること自体が、申込時に申告が必要というサインです。
引っ越しと広域入所の使い分け
年度途中に市外へ引っ越す場合
年度途中は募集枠がごく少ないため、転園先が見つからないことがあります。広域入所が認められれば年度末まで今の園に通い続けることができ、4月のタイミングで新住所の自治体に申し込むという進め方が可能になります。
引っ越し前に新住所側の園に通いたい場合
転居予定を理由とした広域入所が認められれば、引っ越し前から転居先の園に通うことができます。ただし前述のとおり受け入れ側の市町村の児童が優先されるため、空きがある場合に限られます。
手続きの流れ(一般的な例)
- 住民票のある市町村の窓口に、広域入所を希望する旨を相談する
- 希望する施設のある市町村の受け入れ可否・締切を確認する
- 住民票のある市町村に申込書と必要書類を提出する
- 市町村間で協議が行われる
- 受け入れ側の利用調整を経て結果が通知される
締切が通常の申込より早く設定されていることがあります。広域入所を検討する場合は、まず住民票のある自治体に早めに相談するのが確実です。
転園そのものの点数への影響は引っ越しで保育園を転園すると点数は下がる?143自治体の転園減点を、引っ越しのタイミングは保活中の引っ越しはいつがベスト?をご覧ください。
ご注意
広域入所の可否・条件・締切は自治体ごとに大きく異なります。本記事は当サイト収録データと各自治体の公式資料に基づく一般的な整理です。実際の手続きは必ずお住まいの自治体にご確認ください。