「就労証明書に会社の印鑑は要りますか」は、勤務先から必ずと言っていいほど聞かれる質問です。答えは自治体によって違うのですが、その内訳がこども家庭庁の資料で分かります。
国の標準様式に押印欄はない
子ども・子育て支援法施行規則の様式第一号(就労証明書の標準的な様式)には、押印欄がありません。事業所名・代表者名・所在地・電話番号・担当者名・記載者連絡先を書く欄はありますが、印鑑を押す場所は設けられていません。
これは、行政手続きの押印を見直す流れに沿ったものです。標準様式に従うかぎり、押印は求められないことになります。
それでも押印を必須にしている自治体がある
こども家庭庁は「就労証明書における押印を必須としている市町村一覧」を公表しています。この資料によると、押印を必須としている市町村の数は次のように変わりました。
| 時点 | 押印必須の市町村数 | 都道府県数 |
|---|---|---|
| 令和5年10月1日 | 182 | 37 |
| 令和6年10月1日 | 123 | 27 |
1年で59市町村が押印を求めなくなりました。減ってはいますが、まだ123の市町村が必須としています。全国約1,700市町村のうちの1割弱です。
令和6年10月時点の内訳を見ると、北海道が86市町村と突出しています。次いで和歌山県21、奈良県16、福島県15、熊本県14と続きます。町村部で押印を残しているところが多い傾向です。
どうすればいいか
自治体のしおりか様式を見る
押印が必要なら、様式に押印欄が追加されているか、しおりに「事業所の印を押してください」と書かれています。
分からなければ押してもらう
押印が不要な自治体で押印されていても、それで受け付けられないことはまずありません。迷ったら押してもらうほうが安全です。
勤務先が渋る場合は窓口に確認
「うちは押印しない方針」という会社もあります。その場合は自治体の窓口に事情を伝えて相談してください。担当者の連絡先が書いてあれば、電話で確認して済ませてくれることがあります。
押印よりも大事なのは担当者名と連絡先です。標準様式にこの欄があるのは、自治体が内容を確認できるようにするためです。ここが埋まっていれば、押印がなくても証明の裏が取れます。
電子申請はどこまで進んでいるか
こども家庭庁は、標準様式の活用状況とあわせて電子申請への対応状況も調査しています。標準様式を令和7年4月入所分から活用している自治体・していない自治体の一覧も公表されています。
電子申請の形はいくつかあります。
- マイナポータル(ぴったりサービス)から保育所の利用申込を受け付ける
- 自治体独自の電子申請システムを使う
- 就労証明書だけをオンラインで受け取る仕組みを設ける
ただし、就労証明書そのものを勤務先が電子で提出できる自治体はまだ限られます。多くは、勤務先が書いた紙をスキャンして保護者がアップロードする形か、紙で提出する形です。
Excel版を活用する
こども家庭庁は標準様式をPDFとExcelの両方で公開しています。Excel版には入力用のプルダウンが仕込まれていて、年月日や勤務時間を選べるようになっています。
勤務先に依頼するときは、Excel版を渡すのが最も親切です。手書きより早く、書き間違いも減ります。印刷して押印だけしてもらう、という流れが現実的です。
Excelで作成したものを自分で編集してはいけません。勤務先が入力して印刷・押印したものを、そのまま提出してください。標準様式には無断での作成・改変は刑法上の罪に問われる場合があると明記されています。