不妊治療は、令和4年(2022年)4月から公的医療保険の対象になりました。それまでの助成金中心のしくみから大きく変わっています。
何が保険適用になったのか
| 治療 | 扱い |
|---|---|
| 一般不妊治療(タイミング法・人工授精など) | 保険適用 |
| 生殖補助医療(体外受精・顕微授精など) | 保険適用。採卵から胚移植に至る一連の基本的な診療が対象 |
保険が適用されると自己負担は原則3割になります。もともと高額になりがちな生殖補助医療で、負担は大きく下がりました。
医療費が高額になれば高額療養費制度の対象にもなります。令和8年8月からの見直しで年間上限ができたため、治療が長期にわたる年は、この年間上限も効いてきます。
年齢と回数の要件がある
保険適用には要件があります。代表的なのは治療開始時において女性の年齢が43歳未満であることです。あわせて胚移植の回数にも上限が定められています。
要件を外れた場合は保険適用にならず、全額自己負担になります。年齢の区切りが治療開始時である点は、計画を立てるうえで押さえておく必要があります。
先進医療は併用できる
生殖補助医療では、患者の状態に応じて追加的に行われる治療があります。このうち先進医療に位置づけられたものは、保険診療と併用できます。
先進医療として認められている技術には、タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養、ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI法)、子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE法)などがあります。
先進医療の部分は保険が効かず全額自己負担です。保険診療と併用できるというのは「保険部分が保険のまま扱われる」という意味で、先進医療の費用まで安くなるわけではありません。
自治体の助成はどうなったか
保険適用の前は、国の助成金(特定不妊治療費助成事業)が中心でした。保険適用に伴ってこの助成は終了しています。
一方で、自治体が独自に助成を続けているところがあります。よくあるのは次のような形です。
- 先進医療にかかる費用の一部を助成する
- 保険適用の要件を外れた場合(年齢・回数)に独自の助成をする
- 不妊検査や一般不妊治療の自己負担を助成する
- 不育症の検査・治療を助成する
実施の有無も金額も自治体ごとに違います。都道府県が実施しているものと市区町村が実施しているものの両方があるため、両方を確かめる必要があります。
民間の保険との関係
不妊治療については、民間の医療保険でも保険適用になった治療を給付の対象とする商品が出ています。ただし次の点を確かめる必要があります。
- 加入前から不妊治療を受けている場合、条件が付くか
- 給付の対象が保険診療の範囲か、先進医療も含むか
- 加入から給付までの待機期間があるか
多くの商品で、加入後一定期間は不妊治療の給付が受けられない設計になっています。治療を始めてから入っても間に合わないことが多い分野です。
調べる順番
保険適用の範囲を医療機関で確認する。どこまでが保険でどこからが先進医療か、治療計画とあわせて聞きます。
住んでいる都道府県と市区町村の両方の助成を調べる。片方だけ見て「助成はない」と判断しないでください。
高額療養費の限度額適用認定を用意する。窓口の支払いを上限額までにとどめられます。
医療費控除を忘れない。不妊治療の費用は医療費控除の対象です。年をまたぐ治療では、支払った年ごとに集計します。
公的な制度と自治体の助成でどこまで賄えるかを確かめたうえで、それでも読めない部分をどうするか。この順番で考えると、必要のない備えを増やさずに済みます。判断に迷うときは子育て世帯向けの無料相談のような窓口で整理してもらう手もあります。