広島市のこども医療費補助は、政令指定都市では珍しく所得制限があります。ただしこれは2026年12月(令和8年12月)診療分までです。2027年1月からは所得制限がなくなり、対象も高校生年代まで広がります。ここでは市の公式情報をもとに、いまの中身と何が変わるかを整理します。
2027年1月から変わる3つのこと
| 2026年12月診療分まで | 2027年1月診療分から | |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 中学3年生まで | 高校生年代まで |
| 所得制限 | あり(所得制限額以上は対象外) | なし(全員が対象) |
| 通院の負担上限 | 初診時1日1,000円または1,500円 (月2日まで) | 初診料算定時500円/日 (月4日まで) |
高校生年代とは18歳に達する日以後の最初の3月31日までを指します。あわせて医療証の有効期間の終期も、「令和9年3月31日」から「次の誕生日の月末」に変わります。
いま所得制限で対象外になっている家庭も、2027年1月診療分からは補助の対象になります。「うちは所得が高いから関係ない」と手続きをしていない場合は、市からの案内を見落とさないようにしてください。
いまの一部負担金は所得と第何子で決まる
通院の一部負担金は1医療機関等ごとに、保護者の所得が「一部負担金の基準額」より下か上かで変わります。
| 区分 | 未就学児 | 小学生〜 (2026年12月診療分までは中学生) |
|---|---|---|
| 基準額未満 | 初診時:1日最大500円(月4日まで)/5日目以降なし 再診時:自己負担なし | |
| 基準額以上 第1子・第2子 | 初診時:1日最大1,000円(月2日まで)/3日目以降なし 再診時:自己負担なし | 初診時・再診時:1日最大1,500円(月2日まで)/3日目以降なし |
| 基準額以上 第3子以降 | 初診時:1日最大500円(月4日まで)/5日目以降なし 再診時:自己負担なし | |
| 入院 | 自己負担なし(食事療養に係る費用、室料差額など保険診療外を除く) | |
| その他 | 保険薬局(院外処方に限る)/指定訪問看護/あん摩マッサージ/はり・きゅう/柔道整復/治療用装具は自己負担なし | |
「第三子以降」は高校生年代(2026年12月までは中学生)までの子を数えて3番目以降の子です。3人以上いて、別居扶養で住民票が分かれている子がいる場合は、申請のときに申立書等が必要になります。
歯科と歯科以外は別の医療機関として数えます
歯科診療と歯科以外の診療を併せて行う医療機関については、それぞれ別個の医療機関とみなします。同じ建物でも負担は別に発生します。院内処方の医療機関と院外処方の医療機関で自己負担額が異なる場合もあります。
「所得制限額」と「一部負担金の基準額」は別のもの
広島市には所得に関する基準が2つあり、意味が違います。
所得制限額… これ以上だと2026年12月診療分までは補助そのものの対象外になる
一部負担金の基準額… これ以上だと窓口の負担額が高くなる(補助は受けられる)
| 扶養親族等の数 | 一部負担金の基準額 | 所得制限額 |
|---|---|---|
| 0人 | 295万2千円 | 532万円 |
| 1人 | 333万2千円 | 570万円 |
| 2人 | 371万2千円 | 608万円 |
| 3人 | 409万2千円 | 646万円 |
| 4人以上 | 1人につき38万円を加算 | |
| 同一生計配偶者(70歳以上) または老人扶養親族 | 1人につき6万円を加算 | |
判定は保護者(生計中心者)の所得で行います。世帯の合算ではありません。共働きでも、判定に使われるのは生計の中心となる人の所得です。
助成の対象にならないもの
健康保険がきかない費用は全額自己負担になります。
- 保険適用のない治療・検査・薬
- 健康診断、予防接種
- 美容整形、歯列矯正
- 室料差額(個室代)
- 後発医薬品がある薬で先発医薬品を希望した場合の特別の料金
- 大規模病院で紹介のない場合の初診料の加算分
- おむつ代など日常生活上必要なサービス
全国共通の制度も忘れずに
- 妊婦のための支援給付… 5万円+こどもの人数×5万円
- 出産育児一時金… 子ども1人につき原則50万円
- 出産手当金… 健康保険の被保険者が産休を取ったとき
- 育児休業給付金… 2025年4月から手取り10割相当になる期間がある
- 児童手当… 2024年10月から高校生年代まで。こちらは所得制限がありません
児童手当は2024年10月から所得制限がなくなりました。こども医療費補助に所得制限があることと、児童手当が受け取れるかどうかは別の話です。混同しないでください。
保育園に入れるかどうかも見ておく
広島市の保育料は世帯の住民税所得割額と子どもの年齢クラスで決まります。3歳児クラスからは無償化で利用料が無償ですが、給食費などは別にかかります。
入りやすさは区や園で差が出ます。広島市の点数の基準と空き状況を見ておくと、申し込む前に見通しを立てられます。
所得制限があるあいだに考えておくこと
広島市では、所得制限額以上の家庭は2026年12月診療分までこども医療費補助を受けられません。この期間は健康保険の自己負担(未就学児は2割、それ以上は3割)がそのままかかります。
ただし、子どもの医療費で家計が傾くことはあまりありません。効いてくるのは別のところです。
- 個室を希望したときの室料差額(補助の対象外)
- 入院中の食事療養に係る費用(補助の対象外)
- 付き添いのために親が働けない期間の収入
入院そのものは所得にかかわらず自己負担なしですが、この3つは残ります。特に3つめは金額が読みにくく、きょうだいがいる家庭ほど影響が大きくなります。
子ども本人の医療保険より親に何かあったときの保障のほうが、家計への影響は大きくなります。順番を押さえたうえで、補助の対象外になる部分を埋めるのが無駄のない考え方です。
市外へ引っ越す可能性がある場合は、転居先で条件が変わる点も頭に置いておいてください。判断に迷うときは子育て世帯向けの無料相談のような窓口で、公的な保障の確認から整理してもらう手もあります。